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- ライター名:下田寛之
- 会社名:株式会社船井総合研究所
- 創業から38年間で約30,000社の経営コンサルティングを行い、業績向上のお手伝いをしてきました。現在500人の社員が約5,000社のコンサルティングに当たっています。
力相応一番主義
掲載日:2008年3月14日いつもご愛読有難うございます、船井総合研究所の下田寛之です。
企業経営の上で、どのような時代においても利益を得る方法は、1つのモノや事柄を永続化させていくことです。そのためのベストな方法が一番主義です。
そういう意味での、マーケティングの基本原理は、一番になれる商品・商圏・客層を探し出すことが基本となります。
皆さんは、「日本で一番高い山は?」と質問されたら、「富士山!」と即答できると思います。しかし、「日本で二番目に高い山は?」と質問されたらどうでしょうか。おそらく、答えに窮するのではないでしょうか。正解は、「静岡県の北岳」です。こうなると、雑学が大好きな人や山好きの人しか、答えられないのではないでしょうか。このように1番と2番の差は、2番と100番の差よりも大きいのです。
話をマーケティングに戻すと、力があれば、一番商品をより多く持つこと、より大きな商圏でより多くの客を対象とした商売を展開することが、競争で勝つためのベストの方法ということになります。そのため、まずは1つでも一番のもの、もしくは他に絶対に負けない独自固有の長所を作り上げることが不可欠です。競争が激しくなったとしても、一番商品・サービスを持てば、たとえ時流不適応であっても、それだけで業績を伸ばすことが可能になります。いろいろな商品や機能を持ちながら、一番が1つもない店を「よろず屋」というのに対し、一番を1つでも持ち、それ以外の商品や機能をあわせ持つような店を「総合化店」といいます。この場合、もちろん、一番は1つより2つ、2つより3つと、数多くあるほど業績が上がります。
では、一番商品を持つためにはどうすればよいのでしょうか。一番簡単な方法は、競合店を十分に調査し、その結果に対して機敏に対応できる体質づくりをすることです。
次に注意点として、前述した一番商品を持つこと、あるいは一番づくりで忘れてはならないことについて述べましょう。
第1に、わかりやすいもので一番にならなければ、ほとんど効果がないということです。たとえば、魚や肉で一番とか、紳士服の品揃えで一番というように、わかりやすいことが絶対に必要です。
第2に、ロットにならないものでは、一番になってもあまり意味がないということです。ツマヨウジで一番でも、歯磨き粉で一番でも、商売にはなりません。はっきりわかるもの、数または量でこなせるもので一番になるよう心がけてください。もちろん、突然「魚の売上日本一!」にはなれません。そこで必要なのが、場所や機能を絞り込むことです。
これが、力相応一番主義という考え方です。自店のシェア、売上、品揃えなどに応じて戦う場所と機能を決めていくわけです。そうなると、たとえば「まぐろの品揃えは市内一!」というようになることができるのです。
力相応一番化とは、力相応に一番化することです。企業経営では、「力相応でなければならない」ということが基本となります。企業が力以上のことをするのは、よほど環境条件の良いときでなければ、きっと失敗をもたらすでしょう。
一方で、現在のように、様々な業界で企業の経営統合や再編が繰り返される競争激化時代においては、生き残るためには、できるだけ多くの一番を持ち、競争相手よりも強くなければなりません。
つまり、力相応で、かつ一番化できなければ企業経営は継続できなくなってしまうということです。
お客様から、「こういうときはあの店!」といってもらえるように、自店の一番の商品・客層・商圏を決めて、それを徹底的に伸ばすことが重要です。
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