-
- ライター名:大嶽 広展
- 会社名:株式会社 船井総合研究所
- 創業から38年間で約30,000社の経営コンサルティングを行い、業績向上のお手伝いをしてきました。現在500人の社員が約5,000社のコンサルティングに当たっています。
保育所運営は儲かるのか!?(3)
掲載日:2009年10月22日みなさん、こんにちは。
船井総研の大嶽です。
さて、前回は売上を上げる方法として、以下の3つのポイントをご紹介しました。
1.一番になれる商品・商圏・顧客をつくる
2.商圏を広げ、新規客を獲得する
3.新たな商品やサービスを付加する
1については元々が小商圏であるがゆえに、絞込み戦略・特化型戦略にこだわり
過ぎると、非常に小さい市場となり、逆効果になることがあります。
一般的に絞込み・特化の原則は、
1.市場の大きい商品
2.市場が成長している商品
の2つです。(出来れば兼ねている事が望ましい。)
保育業界の場合、商品は月極保育・一時保育・延長保育・病児保育などの保育サー
ビス、もしくは英語教育・体育・右脳教育・食育などの教育サービスとなります。
そうなると、該当するのは英語教育や食育くらいのものです。
しかし、これは多くの施設が導入しており、現在では非常に差別化しづらい状況です。
また、教育で差別化しようとすると今度は幼稚園とバッティングすることもあります。
一方でそれ以外で絞込み・特化すると効果はさほど期待が出来ませんし、例えば一時
保育に特化したケースなどは正直なところ収支的に経営の安定は全く見込めません。
さらに、保護者ニーズとしては総合的サービスを望むのです。
「出来るだけ遅くまでやって欲しい。」
「病気になったときは預けたい。」
「食育も英語も出来ればやって欲しい。」
などがほとんどなのです。
この「顧客意識の総合化」はまさに成長期市場の特徴です。
(注:本来保育業界は安定期市場であるが、ターゲットが保護者に限定されている
ため、常々新しい顧客を対象に商売をしていくことから実際は成長期市場の特徴が出る
ことが多い。)
よって、私は、「包み込み&一点突破戦略」を推奨しています。
基本的には一番になれる商品・商圏・顧客を持ちながら、出来る限り競合施設が行って
いるサービス、商圏、ターゲットとしている顧客をも包み込むのです。
しかし、これには経費リスクが付いてきます。ですので「出来る限り」と書いたのはそ
の理由です。
また2については、保育所運営は非常に商圏が狭いのが特徴です。
集客しても定員や施設規模の問題で限界があるのも他とは異なる特徴となります。
さらに、顧客特性として通勤を意識した立地が求められますので、商圏を広げても通え
ないケースが多く発生するのです。
そうなると、上記2は根本的に適応しづらいのは言うまでもありません。
安易に商圏を拡大させれば良いということではないのです。
そこで重要になるのが、3の「新たな商品やサービスを付加する」という方法です。
この方法が「保育所経営」を安定したものにするのです。
次回はこれについてご説明します。
- カテゴリ: