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- ライター名:大嶽 広展
- 会社名:株式会社 船井総合研究所
- 創業から38年間で約30,000社の経営コンサルティングを行い、業績向上のお手伝いをしてきました。現在500人の社員が約5,000社のコンサルティングに当たっています。
小規模保育が加速する(1)
掲載日:2014年8月 6日みなさん、こんにちは。
船井総研の大嶽です。
5月26日。
国から新制度の公定価格の仮単価が
発表されました。
今回の公定価格の仮単価の発表は、幼稚園、
そして保育業界にとっては、非常に重要な出来事
でした。
当然ながら、今後の自園や自社の行く末、進むべき道
を選択するための大切な指標になるのです。
今回発表された公定価格が今後大きく変更になる
ことはまずありませんから、この単価を基本に考える
べきなのです。
その中で一際注目せざるを得ない業態があったのです。
それが、「小規模保育」です。
この小規模保育は、「子ども子育て会議」でも以前から大きな期待がありました。
これは関係者の声からも、子ども子育て会議の議事録を見ても、実によく分かります。
今の全国の現状を見ると、
待機児童の多い地域≒大都市(政令指定都市や中核市など)
ですから、このような都市部は広い土地や用地の確保が難しく、
認可保育所の整備が思ったように進まなかったのです。
それならば、コンパクトで局地的に「必要な場所に必要なだけ」受け皿を
確保できる小規模保育のほうが待機児童の解消にとって効率性が高いという
考え方に注目が集まったのです。
もう一度公定価格の仮単価に話を戻します。
仮に最もスタンダードな小規模保育(B型)、地域区分が12/100地域、
定員19名で考えた際にどの程度の収入になるのか、公表された試算ソフトに
当てはめて算出してみると、次のようになります。
■年間収入
現行水準(質改善前):約3,300万円(月収入:約275万円)
平成29年以降(質改善後):約3,600万円(月収入:約300万円)
※平成27年・28年はこの中間程度の数値になる予定
この数字だけを見て、みなさんはどう思うでしょうか?
特に認可外保育所の経営者様の中にはこのように思う方も多いかもしれません。
「確かに収入は大きいけど、結局は4月ショックで子どもが減ったりすれば
収入はだいぶ変わるんじゃないの??」
「小規模保育って0~2歳限定でしょ?それで19人集めるのって結構大変じゃない?」
しかし、考えてみてください。
定員は19人です。認可外保育所の皆様にとっては非現実的な数字でしょうか?
また、小規模保育は保護者の利用料負担が認可保育所と同様の水準になります。
この利用料負担の変化は大きいですよね。
今より格段に利用者の入園ハードルが下がるわけですから。
そして、実は上記のこの数字は4月ショックも考慮し、4月時点で15人スタート
して、8月頃から19人満員になった場合の数字なので、決して無理な数字を出して
いません。
さらに、3月で退園者が出ても4月で新規入園が増え、結果的に19名からのスタート
が出来た場合の年間収入は、
現行水準(質改善前):約3,500万円(月収入約290万円)
平成29年以降(質改善後):約3,800万円(月収入約320万円)
となります。
一方で、経費は人件費だけ述べておきましょう。
約19名に対しての人員配置は保育園を運営している方であればイメージが
出来ると思いますが、専任の管理者含めて常時6名前後の体制、それに加えて
調理師が常勤換算で1名ですので、多く見積もっても180~190万円程度
となります。
これが新制度後の小規模保育の実態です。
続く・・・・・・・・・・・
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