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- ライター名:大嶽 広展
- 会社名:株式会社 船井総合研究所
- 創業から38年間で約30,000社の経営コンサルティングを行い、業績向上のお手伝いをしてきました。現在500人の社員が約5,000社のコンサルティングに当たっています。
保育業界の常識・世間の非常識(3)中小企業でも新卒採用がメイン
掲載日:2016年10月 1日一般企業、とりわけその中でも中小企業は常に即戦力を求めます。
理由は、経営する中で1人当たりの生産性や労働分配率などの経営指標
の水準を高めていかないと、立ち行かなくなるからです。
新卒採用のメリットや良さは理解していながらも、中小企業が生き残る道
として即戦力採用である中途採用が主になる理由は頷けると思います。
そして、中小企業だとしてもある一定の企業規模まで到達すると、新卒採用
を育てるだけの投資に対する心の余裕や職場風土、環境が出来上がり、
いよいよ新卒採用を実施していきます。
つまり、あくまで中途採用を前提に事業拡大を行い、一定の規模や環境が
整備された時点で新卒採用をスタートさせ、その会社としての新卒採用と
中途採用のバランスを構築していくのが一般的な中小企業の考え方です。
多くの保育事業者は中小企業、その中で小規模の部類に入りますから、
この考えを踏襲すると、保育事業者も中途採用を前提にすべきという
発想になります。
しかし、保育業界は異なります。
第1章でお伝えしたように、毎年約4万人の保育士が養成校を卒業して
保育士資格を取得していることからも、(実際には他分野や他業種へ
の就職が半分程度あるため、2万人程度)この新卒採用市場は以前から
保育業界の地域や規模を問わず、当然の採用手法として存在し続けているのです。
極端な言い方をすれば、山間部などの過疎地で小規模で保育園を運営
しているような事業者でも新卒採用は行っているということです。
これは国家資格者市場の特徴だと言えます。看護師や薬剤師、
介護福祉士などの国家資格者の採用手法において、新卒採用は主に
なっているのです。
仮にこれを一般企業の中小・零細企業の経営者に話をすると、
不安な意見が多く出てくることでしょう。
それくらい新卒採用から社員を育てるには労力が必要になるからです。
ですから、保育事業者としては、この「新人育成」をとても重要な
経営課題として位置付ける必要があると私は思います。
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